貧乏勇者サクセスト
[『アント・オブ・ラビリンス Lv20』](2/3)

「たしかに、何だか臭いますわね……」

エスティはそう言って、袖で鼻を覆った。

オーガの巣付近の岩は、エーイチが今まで見たものに比べひとつひとつが大きく、自然的に置かれていた。

逆にボビ村近辺の蟻の巣は、過去冒険者達が旅の道として整備していたことがそこで初めてわかる。

洞穴に入った瞬間から、エスティは低級の閃光魔法を唱える。

それは小指ほどの小さな光球を無数に呼び出すもので、エスティが腕を振るうことによって、それは花粉、あるいは胞子のように散布された。

光球のほとんどは洞穴内の壁、地面、天井に付着し、辺りを金色色に染める。エスティとエーイチに辛うじて人が通れる深部への道を教えた。

なかには宙を漂う光球もあった。

エスティはエーイチにその魔法についてを丁寧に教えた。

「この閃光魔法は魔力そのものを発光させたもの。以前、宙に地図を描いたのはこの魔法の応用です。

閃光魔法は冒険者の基本中の基本魔法で、ほぼどんな職業の者、むしろ一般人にも扱えます。

黄色く見えるでしょう? この光は、使用者の心の色を反映させているのです。黄色は陽属性、高貴な心を映し出したものですわ」

エーイチは口を大きく開けて、星空のようになった洞穴内の天井を仰ぐ。

「へえ。じゃあ、オラにも出来るのか?」

「そうね……ちょうど魔法使用の入門編になりますわね。本来は初めての魔法解禁は規定の施設で行うものですが、

冒険者ライセンスを獲得して1年以上経つわたくしが監督しているので、問題ないでしょう」

 

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モドルマエヘ
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