貧乏勇者サクセスト
[『フゴ王国』](32/32)


エスティはぶつぶつと独り言のようにつぶやく。


「ここにくるまで、こんな足跡は一切なかった。つまり木々を飛んだり、土に圧力を感じさせないほど高速で移動し、ここで立ち止まった……さらに、余計な足跡を残さずに、恐らく街のほうに戻っている……こんなことが出来る獣は……」


次の瞬間、エスティの脳裏にマッハパンサーの姿が浮かぶ。


「まさか、あの富豪の弓使い、キューピーもここに?」


エーイチは「へえ、あいつも来てんのか」と言った後、ふと、洞穴のほうに鼻を近づけた。


「……それにしても、この洞窟、なんか、くせえな」


「自分の体臭でしょ?」


「いや……このツンとした酸っぱい感じ。嗅いだことあるぞ。こりゃ油とか肉が腐った臭いだ」


「だからそれは、エーイチ、あんたの体臭じゃない」


エーイチが恨めしそうな顔でエスティを振り返る。


「臭い臭いって、おめえもここんとこ結構臭うぞ」


直後、エスティは剣の束の部分でエーイチの頭を思いっきり殴った。


そして「さ、行きますわよ、ユー」と言って、ソードラゴンとともに洞穴に向かった。


「ま、待てよ! 何怒ってんだよ! ボビ村じゃ普通だぞ!」


こうして、2人と1匹の冒険者はオーガの巣に向かった……。

 


- 112 -

モドルマエヘ
/115 n

⇒セーブ


[ヘンシュウ]

アトモドリ