☆[プレイボーイの幼なじみ](1/10)
今日は昼過ぎから土砂降り…朝ニュースでそんなこと言ってたっけ。
颯太と別れて、学校をでるまではパラリとも降っていなかったのに、ついてねーな。
土砂降りの雨にうたれながら、水溜まりに足を踏み入れる。
ああ、だりぃ。
だるすぎる。
また、母ちゃんにグチグチ言われるし
制服びしょびしょにすると乾かすのが大変だとか、なんとか。
だったら替えの制服買えつーの。
……だりー。
しかも12月とか。寒すぎるべ。
はぁ。
『篤くん?』
あと三軒先は家。というところで、誰かに呼び止められる。
ゆっくり振り返ると、真っ赤に水玉の傘。
すぐに誰だか分かった。
『ちょっとびしょびしょじゃない!ほら!うちに寄ってきなさい!風邪引くから』
「……おばちゃん」
『……ほら、早く』
「…………」
『……ね、お願い。
渡したい物もあるの。』
『ね?』
俺は無言でおばちゃんが開けてくれた玄関のドアをくぐった。
玄関には赤に白の水玉のマット。
壁にはミッキーとミニーのジグソーパズルが大きな額縁にいれられている。
『ほら、靴脱いで。タオルもってくるわね』
かわらない。
何も変わっていない。
二年前と。全く同じ匂い。
玄関で呆然と立ち尽くす俺に
おばちゃんは、何も言わなかった。
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