綺麗なバラには刺がある。
[.第2章.ありえないって。](1/29)





こんなんじゃダメだ、って

両手で頬をバシッと叩く。



気を強く持て、私。




そう思いながらふらふらと
もたつく足を動かし、自分の席に戻る。



…まだ顔がちょっと熱いかも。




だって、…あんなの、
忘れられる訳がないじゃない。


ああもう、どうしよう。



仕事だって、進めなくちゃいけない。


出来れば今日も定時で帰りたい。



はぁ…。本当に、

何も手につかないってば。




「…おい。」



ああ、この人は
どこまで鬼なんだろうか。



こんな風に私を呼ぶのは
高橋さんしかいないもの。



「…はい、何でしょう。」



「何でしょう、じゃねぇよ。
何だこの開発案は。
現実的に考えろ、予算的にも
これじゃ厳しいだろ。」



また、ダメ出しを食らって
私の元へ帰ってきた開発案。



いつも以上にいつも通りな
高橋さんとは裏腹に、


私の目は高橋さんの唇を
チラチラと見てしまう。



ああ、バカだ。意識しすぎだ。


「すみません、作り直します。」

そう言ってパソコンの方へ
体を向き直すと、


「ふっ、お前、意識しすぎ。」


と笑う声が聞こえる。



なんなんですか、この男は。

意識して何が悪いんですか。




敢えて高橋さんの言葉を
無視していると、


ゆっくりと近付いてくる気配がする。



そして、耳元で


「俺じゃねぇとイケない身体にしてやるよ。」



と囁く、から、


私の顔はまた熱くなる。




「ふん、ばーか。」



そう言い残して去る高橋さん。




…本当に、最悪だ。






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