黄色い糸
[病室@](1/1)


チュンチュン……チュンチュン…


朝の6時、彼女が無事肉体に戻ってくれてから6度目の朝がきた。彼女はあれからずーっと眠ったままだった。


もともと、憑依するために地上に降りてきたはずだったが、憑依する前に本人に見られたことと、事故みたいに手を握っただけで、あれほどまでに拒否られてしまったてまえ、はたして、このまま憑依していいものなのか、あれ以上に拒否られた場合、俺は生きてはいけないのではないか。


また、俺が憑依したことを気づかれて、彼女の幽体が肉体を飛び出したりしないだろうか、などと色々考えているうちに、だらだらと月日だけが過ぎていった。


「おはよう」


誰かの声がした。病室には、彼女と俺以外には誰もいないはずなんだけど、彼女が話しかけた様子はない。まだ、眠ったままだし…


「おはよう」


もう一度声が聞こえた。耳からではなく、頭の中に直接響いてくる感じだった。



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