黄色い糸
[出会いA](1/1)



黄色い糸は入院病棟を縦に貫いているらしく、俺の身体は、夕食の配膳で慌ただしい病室を、天井から現れ床へと消えていくのだった。


このまま下へ行くと霊安室か?俺は益々不安になるとともに、自分のくじ運の悪さを嘆いた。俺の脳裏に、今までのことが、走馬灯のようによみがえっては消えていき、俺は知らないうちに泣いていた。


しばらくすると、俺の身体の引き寄せられる速さがほとんどなくなった。恐らくこの下の階に目的の肉体があるんだろう。


死んで地獄に落ちる人間が感じる不安感に、俺の心は支配されていた。



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