私の居場所を狙うあの子
[女同士](1/4)

結局湯川くんは見つからないまま。

ざわつく広場で、班別に並び終えると
先生達の話が長すぎて

正直あまり耳に入ってこない。

すると、私の前に座るめーこちゃんが
後ろを振り向くと
何かコソコソ話しかけてきて

二人共、何度も注意を受けてしまった。


「あー!やっと終わった」


両手をぐんと伸ばし
リラックスしているめーこちゃんは
相変わらず注目の的で

こちらをチラ見する男子が約半分。


「あ、そーだ七海!キャンプ終わったら私の家来れる?」


「いいいい、家!?」


「うん。色々と話したいことがあるから」


しょ、小学校以来だ。

友達の家にお呼ばれするなんて。

何年ぶりかな?

中学の時はよくオレンジジュースを二つ用意して、おままごとみたいなことやってたな

一人トランプとか
誰も来ないのに掃除とか。

いつ来てもらっても大丈夫なように

あの達成感、良かったなぁ



「おーーい、七海?大丈「ちょいちょい、そこのお二人さん!」


それにほら、一人トランプと言えば
大富豪で何度も勝ってたし!

すっごく得意なんだよね

たった一人っていうのが前提だけど。

今は、私の隣にめーこちゃんが!



「ほらほら、行くよ!」


一人で昔の思い出話に浸っていると

ついさっきお話した
マチコちゃんとナナエちゃんが
私達の所へ来て

何故かさっきから
私の背中を押そうと頑張っているんだけど

私はボーッとしてるから
ピクリとも動かない。


「ちょ。ななみん足動かして!」と
マチコちゃんに言われ

やっと七海ワールドから抜け出した私は

慌てて足を一歩前へ伸ばすことに。



「何処まで行くの?」


「いいからいいから〜」


少し困惑気味の私は
一先ずその場の空気に合わせ

ふっふと駆け足で少し前にいるめーこちゃん達に付いて行くと

結局、着いたその場所には見慣れた顔触れや

乃彩は勿論
夕月さんや、相楽さん。

そしてゆっこさんやみどりさん

他にもクラスの女子がわんさか集まって

状況がよく分からなかった。



え、なにこれ?」


私の心まで代弁してくれためーこちゃんが
拍子抜けしたような声で問うと


「暴露大会〜」


「ほら、今って自由時間だから」


どうやら仕切っているのは
マチコちゃん達。

私の出番はないみたいだから、一先ず座ろうとしたんだけど


「委員長のななみん!司会の方よろしく〜〜」


そうもいかなくなった。



「待ってました七海!」


からかうように、その場を盛り上げようとしてくれるめーこちゃんに

全く怖くもない睨みを利かせると
冗談冗談って
めーこちゃんは大人しくなったけど

一体何の拷問だ、これは。

クラスの女子が円状になって

ポツリと私だけがど真ん中に座って

一番目立ってる。

確実に



あの、マチコちゃん。どうやって進行すればいいの?」


「それはお任せするよ〜」


いや、任せるって言われても

とりあえず
暴露大会だから



質問がある人、暴露したい人は手を挙げて下さい?」


これが無難なやり方だと思って
みんなの反応を待っていると

意外にも六人くらいが
ピシャリと手を伸ばしていて驚いた。

正直その中の二人は名前が全然分からなくて

ふと乃彩と目があったものだから

仕方なく、当ててみた。



「暴露になるかどうか分からないんだけど、実は皆川くんと付き合うことになりました」


その言葉に
大半の女子が黄色い声を上げ

他のクラス女子達から

一斉に見られてしまった。



「どっちから告ったの?」


「やっぱ皆川くんだよね〜?」


「なんて告白されたの!?」


「いいな〜。ちょーお似合いじゃん」


ああ、やっぱり司会なんて
引き受けるものじゃない。

変に気を使うものの

周りの空気に合わせられない。


ほんとにイヤだ。

今はそれ、聞きたくなかったのに


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