【解体屍書】
[第8話『世界一リアルなゲーム』](1/1)
今日は待ちに待った『リアルデッド666』の発売日。
もう楽しみで楽しみで仕方なかった。
ゾンビを撃ち殺すゲームは数あれど、このゲームはその中でも『一番リアルなゲーム』らしい。
臨場感ってのはいい。
やっぱりスリルがなきゃゾンビゲームは楽しめない。
俺は早速ソフトをゲーム機に差し込んでゲームを始める。
ストーリーなんかかっ飛ばす。
俺はせっかくだからこのエロカッコいいお姉ちゃんを選ぶぜ。
デモムービーが始まり、俺はあまりの出来の良さにテンションがあがった。
主人公は警官のようで銃を持って町へと飛び出していく。
建物(たぶん警察署)を出るといきなり3匹のゾンビに出くわした。
俺は慌てず銃を構えてゾンビたちに発砲した。
この手のゲームはやりなれている。
こんなところでつまづきはしない。
パンパン撃ってバンバン当たる。
それでゾンビたちは死ぬはずなのだがなかなか死なない。
おかしいなと思いつつ撃ち続けるが、ゾンビはよろめきはしても決して倒れない。
ついにはハンドガンの弾が切れた。
ふざけんなよ、豆鉄砲か!
俺はナイフを取り出し、迫りくるゾンビを前に身構えた。
だが、ゾンビたちはそんな主人公には目もくれず真っ直ぐこちらに向かってくる。
まさかこれバグか?
さんざん待たされてこんなゲーム作りやがってカプリコンめ!
俺はムカついてコントローラーを投げ飛ばした。
ゾンビたちは前進し続け、だんだん近づいてくる。
リアル過ぎて怖いが肝心の内容がこれじゃ…
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛』
ゾンビのどアップ映像を見ていたらゾンビの頭がニュと画面から出てきた。
続いて腕が、胴が、足が…
俺はその光景を見て「は?」と言った。
なんだこりゃ?
貞子か?
世界一リアルなゲームってそうゆうことじゃないだろ?
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
ついにゾンビがテレビから完全に姿を現した。
続けて他のゾンビたちもどんどん出てくる。
俺は慌てて部屋を出て、玄関から飛び出した。
「馬鹿かカプリコン!」と叫びながら。
建物(家)を出るといきなり3匹のゾンビに出くわした。
あー、そういやジェイソンの奴も買うって言ってたっけ?
流行ってるもんな。
<世界一リアルなゲーム・完>
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