心愛・・・・時を越えて 第十七章  切  腹(1/15)


伊東さんが入隊して隊内は自ずと二分されて来た






平助「伊織」

伊織「平助さん、稽古終わったんですか」

平助「うん、今から伊東さんの談義を聞きに行くんだ。伊織も一緒に行かない」

伊織「すみません。私は今から隊士に稽古をつけないといけないので」

平助「そうか、じゃあまた今度な」

平助はそう言って走って行った

伊織「どこかの宗教団体みたい」

つい独り言が大きくなってしまった


土方「新選組はいつから勉強好きな集団になったんだ」


伊織「土方さん」

私は思わず苦笑いした

土方「ちょっといいか」

土方はそう言うと歩きだした。私は無言で頷きその後に着いて行った

たどり着いた先は土方の部屋

土方に座るように促され土方の前に座った

土方「伊織、お前、あの伊東をどう思う」

伊織「どう思うって」

土方「俺はあの伊東って男は信用出来ねぇって思ってる‥」

伊織「さすがですね。間違ってはいませんよ‥」

土方「そうか、烝行ってくれ」

烝「御意‥」

山崎の気配は消えた

私は伊東よりも山南の事が気掛かりだった


伊織「土方さん、最近、山南さんを見かけませんが」

土方「禁門の変以来、体調が悪いらしくてな‥」

伊織「そうですか‥‥」

土方「山南さんがどうかしたのか‥」

伊織「いえ‥」

土方「そうか‥‥」


私は土方さんの部屋を出て一度部屋に戻り山南の部屋に行った


伊織「山南さん‥」

山南「伊織くんかい」

伊織「はい‥」

山南「どうぞ‥」

私は山南の部屋に入った

山南の部屋は書物がたくさん置いてあったが綺麗に片付いている

横たわり本を読んでいたようだ

山南「伊織くん、長旅お疲れ様‥」

伊織「有難うございます‥」

山南「今日はどうしたんだい」

伊織「江戸の松坂屋から美味しいお菓子を貰ったので一緒にいかがと思って」

山南「そうかい‥」

伊織「気分が優れないようなら失礼します」

山南「頂くよ」

私はニッコリ微笑んだ

伊織「では、お茶を入れてきますね」

山南「有難う‥」

私は山南の部屋を出て台所にお茶の準備にむかった


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