第十二章(1/10)
年が開けて私達は二度目の上洛をする将軍家茂の道中の警護に当たったりしていた
また、八月十八の政変で追われた長州が町人に変装したりして京の町に入り反撃の機会を狙っていた
新選組もそれを察知し見回りの強化や監察方の烝や島田魁を使い情報を集めに当たっていた
伊織「総司さん、外から帰って来たらきちんと手洗いとうがいをしてくださいね」
私はと言うと総司の結核が頭から離れずにいた
総司を見かけては手洗いうがいを強要した
総司「解ってますよ。最近の貴女は変ですよ、私の顔を見るたびに手洗いうがいをしろって一体どうしたんですか」
伊織「いえ、最近、町で労咳が流行ってると聞いたんで予防には手洗いうがいが1番効果があります。総司さんだけでなく皆さんにも言ってますよ」
総司「そうですか、何か私にばかり言っているような気がします」
伊織「それは貴方が面倒臭がってしないからですよ」
総司はまだ何か言いたそうだったが
伊織「とにかくきちんとしてくださいね」
それだけ言って自分の部屋に戻った
部屋で書物を読んでいると土方に呼ばれた
伊織「伊織です。お呼びですか」
土方「入れ」
伊織「失礼します」
襖を開け中に入り土方の前に腰を下ろした
土方「最近、総司に手洗いうがいをするようにしつこく言ってるらしいじゃないか、何かあるのか」
伊織「ああ、そのことですか」
土方「何かあるなら言ってみろ」
土方に伝えるべきかどうか少し迷っていた
土方「言えない事か?」
伊織「総司さんは‥‥」
土方「総司が何だ」
大きく息を吸って
伊織「労咳にかかります」
土方「何っ‥」
土方の眉間に大きな皺がよる
伊織「総司さんは労咳にかかりそれが原因で・・・・・」
それ以上言葉が出ない
土方「死ぬのか」
私は頷く‥‥
伊織「私達の時代の史料が正しければ感染したのは今年に入ってからなんです。私の時代にはいろんな説がありますからどれが正しいのかはわかりません‥」
土方「どうして黙ってたんだ」
土方の怒鳴り声が部屋に響き渡った
伊織「・・・・・・・」
土方「悪い、決めるのはお前だと言ったのは俺だったな‥‥」
土方さんの気持ちはわかる
私は首を横に振り
伊織「土方さんも昔労咳になった事があると史料で読みました。本当ですか」
土方「ああ、母親が労咳だったからな、それがうつったんだろう。予防で薬を飲んでいたからかは解らないが治ってたな」
伊織「その薬を取り寄せられませんか」
土方「そうか、総司がまだ感染してなければ効果はあるかもしれないな」
伊織「はい」