第十一章平穏な日々 嵐の前の静けさ (1/8)
芹沢が亡くなって数ヶ月が経った
大きな事件もなく平穏な生活を送っていた
総司「伊織さーん‥甘味食べに行きましょう」
伊織「またそんな事言って稽古はどうしたんですか‥」
総司「寒くて‥体が動きたがらないんですよ」
伊織「そんな事言ってると‥‥鬼に怒られ‥‥」
土方「伊織‥‥鬼とは誰だ‥‥」
伊織「ひ、土方さん‥‥いつからそこに‥‥」
総司「伊織さん‥いくら本当の事だからって本人目の前にして‥それは‥ひどいですよ」
伊織「私は、だ、誰も土方さんが鬼だなんて言ってませんよ」
土方「伊織、お前、最近性格変わったんじゃないか、こんな馬鹿と一緒にいるから‥‥」
総司「土方さん、馬鹿とは誰の事ですか‥伊織さんこんな鬼放っておいて行きましょう‥‥」
伊織「総司さん、私は稽古があるので一人でどうぞ‥‥あ、土方さんが暇そうなんで土方さんと行って来たらどうですか、それに私は余り頓所の外には出られないんですよ‥‥」
総司「ハァーッ、一さんですか?大丈夫ですよ、黙ってればわかりませんよ、一くんは今は大阪なんですから」
そう斎藤は新しい隊士を探しに大阪に近藤らと共に行き留守にしていた
伊織「そんな事言うと後でしりませんよ」
総司「ハァッ、ですね。もう少しゆっくりしてきてくれてもよかったのですが」
クスクスッ
久しい足音
ふわあ
久しい匂いとともに
「総司、俺がいない間、伊織をたぶらかすのは止めてもらおうか」
声のする方を見ると彼が立っていた
伊織「一さん、おかえりなさい」
斎藤「ああ」
総司「もう帰って来たんですか、貴方がいない間伊織さん一人締め出来たのに‥‥」
本当に残念と思ってるのか嫌味なのかどちらとも取れる表情で、尚且つ黒い笑みで斉藤を見ながら呟いている
斎藤「ほぉ、お前、俺に喧嘩売っているのか」
総司「はい」
悪びれることのない笑顔で言うから私はどうしていいか対応に困る
伊織「総司さん、何言ってるんですか‥‥」
総司「だって面白いから、普段は余り口を開かない一君が伊織さんの事になると饒舌になるんですからこれを楽しまない手はないでしょう‥‥ね、土方さん」
この人は何を言ってもダメだ。小悪魔が彼を刺激し、斎藤のこめかみがピクピクしている
土方「俺にふるな、一、ご苦労だったな‥報告を聞こうか」
斉藤「はい」
土方の一言で斉藤は総司を軽く睨みその場を去って行った
そして、私はと言うと結局、稽古に戻ろうとした所を総司に引っ張られ京の町へと連れ出された
伊織「まだ‥食べるんですか、そろそろ帰らないと土方さんに怒られますよ」
総司の方を見るとさっきまでいた姿が見えない
伊織「あれ、どこに行ったの‥‥」
辺りを見回したがどこにもいない
少し待ってみたが戻ってくる様子もなく、仕方なく総司探すために店を出た