心愛・・・・時を越えて 第十章局中法度 新見切腹 芹沢暗殺 (1/17)


目が覚めると横には斎藤の寝顔があった

えっ‥‥何‥‥

どうして‥?

私は昨日の事を思い出した

斎藤と屋根の上に居たこと迄は覚えている

斎藤の部屋にいるということは寝てしまったのだろう

私は気持ちよさそうに寝ている斎藤の寝顔を見つめていた

顔を見るだけで心臓が大きく波打つ

私はそっと髪の毛に触れようと手を持っていった

ガシッ

手を掴まれたかと思うと斎藤が目を開けた

斎藤「余り見つめるな‥照れ臭い‥」

ドキンッ

伊織「お、お、起きていらっしゃったのですか?」

斎藤「ああ」

伊織「あ、あの‥一さん‥手を離して下さい‥‥そろそろ朝餉の用意をしないと‥」

斎藤は起き上がり私を抱きしめた

彼の胸の中はとても心地よい

自分の立場など忘れてしまいそうだ





伊織「は、一さん‥‥」

斎藤「酒が抜けるといつもの伊織だな‥」

意地悪そうな顔で見ている

伊織「からかいましたね‥もう知りません‥‥」

私は斎藤の手を振り払い立ち上がった

斎藤「怒っている姿もいいな‥‥」

伊織「一さん‥茶化さないで下さい‥もう行きます」


斎藤は立ち上がり真剣な表情で‥‥‥

斎藤「俺だけを‥見てくれ‥他の誰でもない‥俺だけを‥‥」

彼は何を思ってそんな事を言ったのか真意を追究する事など出来ず

伊織「はい‥」

そう答えるのが精一杯だった



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