ベイビーロジック!


譲れない想い (1/4)




土日をはさんだ月曜日。

俺は、風邪も完治して無事登校してきたってわけだ。




教室に入って、自分の席に着く。

俺の姿を見た瞬間、翼宿は真っ直ぐにこちらへ歩いてきた。




来るとは思ってたけれど、やっぱりまだだめだ。




…………目、合わせられない。




「…………よ、旺恭」

「…………おう」




まただ。

沈黙。

空気が重いんだよ、ここだけ。




互いの息遣いがやけに目立つ。

いつもだったら煩わしくて仕方のない教室の中の雑音でさえも、なんとなく恋しくなってみたり。




気まずさが顔に出る。

翼宿の顔はいまだ見られてないけれど、たぶんこいつも同じだろう。




そう思っていたその時、翼宿が先に口を開いてくれた。




「……風邪、良くなったのか?」

「……まあな」




普通だ。

少し、安心した。




分かってる。

分かってるんだよ、ちゃんとお礼を言わなきゃいけないってことくらい。




素直になれないのは、俺もだ。




人に言う前に、自分で性格を直していくべきなんだろうな。

じゃないと、説得力がない。




ゆっくりと深呼吸をして、心を落ち着かせる。




…………言いたいことは、きちんと言葉にしなきゃ伝わらないんだ。


- 146 -
前n[*][#]次n
⇒しおり挿入
/261 n


⇒作品レビュー
⇒モバスペBook

[編集]

[←戻る]