交わされる四人の約束 (1/7)
「ごめんね、旺恭」
翼宿の隣に寄り添い、腕をからませて幸せそうに微笑む果怜。
ごめんってなんだよ。
お前が好きなのは、翼宿じゃなくて俺だったんじゃないのかよ。
あんなふうに告白しておいて、いきなりそれはないだろう。
「だから、あれは冗談だって」
言っていいことと悪いことがあるだろうが。
俺は認めないぞ。
納得出来ない。
翼宿だって、いきなりじゃないか。
果怜が好きだなんて、そんなこと一言も……!
「初めて会ったときから好きだったよ。ずっと言わなかったのは、果怜先輩が旺恭のことを好きだと思ってたからで」
「翼宿君、勘違いだよ。あたしは旺恭のこと、可愛い弟くらいにしか思ってなかったって」
可愛い弟……?
ふざけるなよ、お前が言いだしたことだろう!
こんなふうに思わせておいて、今さら翼宿とだなんて……。
「おうちゃん!」
…………花宮先輩?
「おうちゃん。おうちゃんには、私がいるよ! 大丈夫だよ」
俺には、花宮先輩が、いる……?
…………違う。
なにかが違うんだ。
俺が求めているのは、こんなんじゃない。
気付いたんだって、やっと。
なのに、こんな仕打ちないだろう。
どうしたらいい。
どうしたら――――……。
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