熱に浮かされたその言動 (1/13)
「へっくし!」
…………風邪をひいてしまった。
一回体調を崩すと、そこからいっきにグダるのがいつもの俺のパターンだ。
だから、この季節にはじゅうぶんに注意してたってのに。
それもこれも、昨日の出来事が原因だ。
果怜が全身を雨でびしょ濡れにさせて、公園で座り込んでいた。
座り込んで、捨てられた子犬と会話してたんだ。
『あんたもひとりなの? あたしと一緒だね』って。
"あんたも"ってなんだよ。
"一緒だね"ってなんだよ。
俺の存在ははなっから無視か。
自分の意見だけを押し通して、俺の意見なんて最初からなかったように扱いやがって。
そういうところが、腹立つよな。
俺が一体何したっていうんだ。
探しに行ったのに。
伝えたいことがあったから、果怜を探して外に出たのに。
家に行ったら果怜のお母さんが出て、まだ帰ってきてないなんていうから焦ったんだぞ。
『旺恭君、果怜と一緒じゃなかったの?』って言われて。
何かあったらどうしようって、普通はそう思うだろう。
だから俺は、とりあえず公園から回ろうと中に入ったんだ。
…………その瞬間に、見つけたけれど。
言いたいことがあって、でもその言いたいことっていうのは、言うのに結構な勇気がいることで。
悩みに悩み抜いた結果で、まあ俺はその内容にやたらとしっくりくるものがあって、だから俺は意を決して切り出した。
――――切り出した、のに。
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