冷たい雨と子犬と本心-Karen side- (2/13)
――――……
「――――果怜ちゃん、私がおうちゃんのこと好きだって、知ってたよね?」
後ろから、聞きなれたその声に振り向くと、そこには薄い涙に表情を歪めた少女がいた。
「…………桃」
知ってたよね、ってどういう意味?
知らないわけ、ないでしょう。
だって、あんたが言ったんじゃない。
『好きだ』って。
『協力してくれる?』って。
「…………それが何」
分かってる、冷たい態度をとってしまってるってことくらい。
でも、今は桃に優しくなんて出来るわけない。
そう思った。
あたしの言葉に、桃は歯をぎり、と噛み締めた。
「…………知ってて、どうして告白したの?」
「…………え?」
思いがけないせりふに、全身に汗がじわりと滲む。
聞き返した瞬間、桃は叫ぶようにして言葉を吐いた。
「――――私の気持ち、知っててどうしておうちゃんに告白なんてしたの?!」
ずきん。
心臓が鈍い音を立てながら震える。
どうして、知ってるの?
睨みつけるようなその目から、瞳をそらすことができない。
――――桃って、こんな目する子だった?
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