天使の想いと告白 (16/16)
――――……
なんか、おかしいと思ったんだ。
今日の朝、いつも一緒に登校していたはずの果怜ちゃんの隣に、おうちゃんがいない。
常に寄り添っていたはずの、おうちゃんの姿が見えなかった。
どうしてだろうって、ずっと果怜ちゃんの後ろをついていった。
途中で翼宿君がやってきて、果怜ちゃんの隣に並んで学校へと歩いていった。
遠くから見ていると、果怜ちゃんはなんだか泣いているみたいだった。
最初は、喧嘩したのかなって思った。
仲が良い二人のことだから、喧嘩なんて日常茶飯事だと思ってたけれど、でもなんだか雰囲気がおかしい。
翼宿君が何を言っても、果怜ちゃんは首を振るだけ。
なんにも、言わない。
なんにも、喋らない。
そんなの、おかしいと思うでしょ?
なんで言いたがらないのかなって、そう思ってた。
悩みがあるなら、相談すればって。
…………でも、さっきのおうちゃんの言葉で、やっと分かったよ。
果怜ちゃんは昨日、おうちゃんに告白してたんだ。
私が、おうちゃんを好きだって言ったから?
私に、おうちゃんをとられちゃうって思ったから?
そんなの、ずるいよ。
だから、言ったのに。
だから、ちゃんと言っておいたのに。
学校を出てから、一生懸命に走った。
走って、走って、駅の近くで、やっと見つけた。
しょんぼりとうなだれながら、一人寂しそうに歩く女の子。
「――――果怜ちゃん。」
名前を呼ぶと、びくりと体を揺らし、そっと振り向いてくれる。
また、泣いてたんだね。
瞳がうるうる、鼻が真っ赤。
…………泣きたいのは、こっちだって。
「――――果怜ちゃん、私がおうちゃんのこと好きだって、知ってたよね?」
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