ベイビーロジック!


友達からの宣戦布告 (2/8)




――――ガラッ




教室のドアを勢いよく開ける。

まだ担任の姿が見えないのを確認すると、俺は静かに席に着いた。




座ってすぐに、少し寝ようと机に突っ伏そうとする。

その瞬間、俺の真正面にある男の下半身が目に入った。




もちろん、制服は着ているけれど、見ていて不快感極まりない。




イラッとして、眉をしかめる。




目の前に立ちはだかるその人物に、あえて顔を見ることはしなくとも、大体誰だかは予想がつく。

それが、声を発せられることにより、さらに明確となった。




「…………旺恭、詳しく話を聞かせろ」




小さく舌打ちをして、髪の毛をわしゃわしゃと掻きむしる。




何をお前に話せばいいんだよ。

――――翼宿。




「果怜先輩、泣いてたぞ」

「知ってる」

「知ってて、なんで助けない」




翼宿の低い声が、怒っているように聞こえるのは俺だけだろうか。

まだこいつと目を合わせてはいないけれど、きっと、そういう顔をしていると思う。




俺だって、もし果怜が何かに困って泣いているようなら、いくらでも手を差し伸べる。




でも、今回はそれが出来ない。

俺に、出来るわけはないんだ。




…………だって。




「……泣かせた原因である俺が、あいつを助けられるわけがないだろう」




俺がそう言うと、翼宿の両手は拳を作り、ぐっと握り締められた。

こいつの苛々が、ストレートに俺に伝わってくるようだった。


- 64 -
前n[*][#]次n
⇒しおり挿入
/261 n


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

[←戻る]