片想い、片想い
[終われない片想い](1/18)
「また眠れないんですか」
夜中の1時を少し回った頃。
枕元に置いた携帯が鳴り出して
ディスプレイに表示された
名前を確認すると
私は“もしもし”を飛ばして
電話の向こうの相手にそう訊ねた。
『うん…だから相手してよ』
携帯にあてた耳元を通じて、
私の全てを溶かしてしまいそうに
甘さをたっぷり含んだ声。
「私じゃなくて、
彼女に電話すればいいのに」
本当は彼の思惑通り、
その声に身体中の神経を
反応させているくせに
私はそれを悟られないように
いつも通りそう嘯いた。
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