チューベローズの女
[危険な関係](2/3)





「春と話すようになってから7年経ってるんだよ」


「好きになるなら、とっくになってると思わない?
この7年の中で」


「春のことはそれなりに知ってると思う。今更何を見て、何を知って好きになれる?」







言い返す言葉が何も見つからなかった。


その通りだと思ったんだ。


俺はその7年とやらに涼を好きになったけど、それには理由がある。

7年経っても知らない事がたくさんあって、7年一緒にいてもどういう人かがまだわからないんだと思う。



好きなこと、嫌いなこと、どういう恋愛をしてきたとか俺は知らない。

知らないことがあると知りたいと思う。


外見がどうこうじゃない、
興味をそそられるものがあるかだ。





涼の中ではもうそれが達成されていたんだな。


俺の78割は知っている、
あとのものは興味もないし知る必要もない。


理屈で恋愛をする涼のことだから、もうこの先俺を好きになることなんてないんだ。






もう好きにはならないんだな」



「ならないと思う」






ついにティッシュを一箱使った俺に
また新しいティッシュを差し出す涼。



たぶん2時間近く泣いたであろう俺に



「春だから適当にできないんだよ。
ほんとにごめん」


と言った。




この人は上手だよなあ。

人を落ち込ませないようにするのも、
別れる時にあえて優しい対応をして、
普段なら自分からなんて絶対にしないのに俺を抱きしめる。


この人に会う理由、俺はいくらでもあるのに涼にはそれがないんだ。


会いたいと言われたから会っている。が正しいんだろう、涼とって。











真っ昼間から号泣した俺は目を腫らして友達の誕生日パーティーに向かった。


すぐに「何かあった?ていうか別れた?」と聞かれるレベルで俺は落ち込んでいたらしい。

目に見えるってのが怖いわ。



親友には


「絶対に続かないと思ってた。
涼レベルと付き合ってたなら、お前もうここじゃ彼女できないわ。東京いけ」


東京には美人や可愛い子が大勢いると思ってる親友。


涼と同じくらいの人、もしかしたら東京にいるかもしれないよってアドバイスまでくれて。






いねーよ。

外見だけじゃねーもん俺の基準。

いくらタイプだろうがつまんねーよ、他の女は。



それに、俺は涼がどタイプってわけじゃない。

美人系より可愛い系が好きだしな。



涼だからまた違うんだよ。




最初は外見で判断するだろ?

そして中身を知る。

そしてまた中身を知る

それでさらに好きになったなら、
いつのまにか外見なんて二の次になってる。



外見だけよくたって中身がクソだったら
気が済むまでSEXしてそっこー別れるよ、男は。


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