チューベローズの女
[「傷つかないと思ってるの?」](1/4)






専門学校を卒業して4月から社会人に。


5月には21歳の誕生日を迎えて
あっという間に秋がきた。


ちょうど地元の友達と飲んでいると
決まって俺らのマドンナ、涼の話になる。




「そういえばこないだ涼に会ったさ!
あんなに顔キレイな人見たことないわ」


「俺もたまたま会って話したけど
めちゃくちゃ綺麗になったよな」




こんな話を聞いては思う。

あのときから2年経とうとしていて
そして涼はまた綺麗になったんだと。


会いたい、顔を見たい、話したいと思ってしまう。





だからまた酒の勢いをかりてLINE
送ってみたんだ。


"元気?"


涼からは3時間後に


"元気だけど"


とだけきた。




何を送っても怒っているような文面で
"うん" "そうなんだ" みたいな
単調な返事しかこない。


久しぶりに会おうと言っても
"仕事が忙しいの"一点張りで
なかなか会おうとはしてくれない。


俺は何日間か粘りに粘って
やっと会う約束をしたんだけど
人に面と向かって"死ね"と言われるとは
この時は思ってなかったよ。



まさかこんなに優しい人をここまで怒らせてたことも知らなかったんだ。









いざ涼と2年ぶりに会う日、
俺は待ち合わせ時間より30分も早く着いていた。


そして待ちながら思う。


待ち合わせがこの世で1番嫌いかもしれない。


つーかなんで会おうなんて言ったんだよ、
って激しく後悔をしてはやっぱり会いたいかも。なんて思うんだよな。








"ついた"の連絡がきてすぐに涼の匂いがした。


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