千日紅
ぬ(1/4)
「君たち!廊下は走らないで!」
ナースステーションを通り過ぎ、廊下を駆け抜けていく途中、そんな声が聞こえた気がした。
だけど、そんなことを気してなんかいられなくて。
どうしようもなく息が乱れ、心臓が激しく音を立てる。
最後の角を曲がった時、彼の部屋に入っていく数人の看護師さんと医者がみえた。
ズキンと頭に衝撃が走り、足が凍りついたかのように止まってしまう。
風で揺れる色素の薄い髪と、同じ色の瞳。
私を見つめる、優しい顔。
家族のことを語る、温かい笑み。
すべてが一気に頭の中に流れ込んでくる。
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