千日紅

ぬ(1/4)







「君たち!廊下は走らないで!」



ナースステーションを通り過ぎ、廊下を駆け抜けていく途中、そんな声が聞こえた気がした。



だけど、そんなことを気してなんかいられなくて。



どうしようもなく息が乱れ、心臓が激しく音を立てる。



最後の角を曲がった時、彼の部屋に入っていく数人の看護師さんと医者がみえた。



ズキンと頭に衝撃が走り、足が凍りついたかのように止まってしまう。



風で揺れる色素の薄い髪と、同じ色の瞳。


私を見つめる、優しい顔。
家族のことを語る、温かい笑み。




すべてが一気に頭の中に流れ込んでくる。












- 15 -
前n[*][#]次n
bookmark
/22 n


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[edit]

[←戻る]