千日紅
あ(1/4)
『すみません。いつもの、ください』
ざわつく交差点の近くの花屋さんに私の声が響く。
「いらっしゃい!あらー、渚ちゃん。
2ヶ月ぶりじゃない?相変わらずかわいいわねー!
ちょっと待って。今包むから」
奥から出てきた店主のおばちゃんは、パシっと軽く私の肩を叩くとニコヤカに笑った。
このテンションの高さが好きで、私はここ《ミチコ生花店》の常連になってしまったわけで。
前に会った時より夏らしくなった涼しげな格好に思わず吹き出した。
『なんだか、虎の柄大きくありません?』
背中にもお腹ところにも。
自己主張しすぎている虎の顔は紫のTシャツの上で威嚇している。
うん、威嚇がぴったりだよ。
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