サリアとウィロ
[第3話](1/6)

謹慎初日目。

私の部屋のドアは開かないようになっている。フロンさんの呪文の力で、中からは開けられないようになっているのだ。ドアの下には、小さな小窓があり、そこから食事をもらうといったところだ。
囚人のようで少し感じは悪いが……。
しかし幸いにも、私の部屋は七階。飛び降りる心配もないことから、窓だけは開けられるようになっている。

ウィロが来るとしたらおそらくここだ。私は窓を開けると頬杖をついて空をみる。

(…たのしみだなぁ……。)

カシャン!

「…?」


その時、軽い音が響き振り返ってみる。ドアの前に、パンとサラダとスープが乗った盆が置かれていたのだった。時計を見ると、針は12数字からわずかにずれていた。

「……もうお昼か……。」

そう呟いた私は、盆を持つとテーブルの上に置いて、食べ始めた。
パンの側には小さな小瓶があって、中には真っ赤な半液状体のものが入っていた。おそらく、香りからして木イチゴのジャムであるとわかる。
私は、それをパンに塗ると前歯でパンを噛みちぎる。

そういえば、昨日ウィロと会ったときに、一緒に椎の実のクッキーを食べたんだけど、ウィロもおいしいっていってたなぁ。今度、カルラさんに頼んでジャムを作ってもらおう。
ピクニックみたいに、いろいろともっていって…………そしたら、きっと……………


























ガリッ!











「っ!?」

そのとき、口の中でそんな音が響きわたったかと思うと、口の中からジワジワと痛みが走り、鉄の味が広がる。
わたしは、口元を覆い、洗面台へと走り出した。

ペッと口の中のものを吐き出すと、出てきたものに言葉を失う。

形を無くしたパンとともに出てきたのは縫い針。
鋭くとがった先端は、私の血で僅かに赤くなっている。

こんなこと、カルラさんがするわけない。だとしたら考えられるのは……。



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