犬と僕。


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僕が鬱陶しいと思っていることに、犬も気付いたんだろうか。


庭に放し飼いにしていたのだが、その日まで一度も逃げたことなどなかったのに、

ある日庭から飛び出して、車に轢かれて呆気なく死んでしまった。






驚いた。


まさかこんなに早く、呆気なく逝ってしまうとは。

今までのことを、後悔してもしきれなかった。

友達と遊ぶことや勉強が大変になったからといって、

歳老いてきていた犬をあんなふうに邪険にしてはいけなかったのだ。


犬の立場になれば、いつも相手をしてくれていた人間がだんだん自分に冷たくなって、どんなに居場所がなく辛かっただろう。

犬が寂しそうにクゥーン…と鳴く姿が頭から離れない。





そしてまた、僕は家で本当に一人ぼっちになる寂しさを知った。



無くなってから大切さに気づくとは、このことだと思った。





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