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2.鈴木さんちのおばさんの章(1/27)
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「おばさん!」
絶対振り返ってやらないんだ。
だって、あたしのことじゃないもの。
「おばさんってば!」
ああもう、うるさいな。
どこどこ?おばさんってどこ?
呼ばれてますよー。
「お・ば・さん!これ!落としたよ!」
無理やり手に押し込められた、キーホルダーのついた自転車の鍵。
なによ、これ。
どこのおばさんのよ!
…あ、うちの自転車の鍵だわ。
私に鍵を渡した女子高生は、そそくさと走り去っていった。
見覚えのあるキャラクターのついたキーホルダー。
確か娘にもらったんだっけ…。
道の真ん中で、キーホルダーを片手に乗せたまま、しばらく見つめていた。
後ろから人がぶつかってきて、よろける。
「じゃまなんだよ、おばさん!」
悪態をついて去っていく若者。
わたしは…おばさん…。
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(PV:1904)
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