お隣さんちの龍ちゃん

◎ 9.彼女なんです。(1/41)



龍ちゃんの風邪は無事に治って、私も宣言通りにうつることはなかった。




あれから、私達は再びよそよそしくなった。








「おい、はなくそ」


「…なんでしょう?」


「なに、この距離?」




勉強を教えてくれている龍ちゃんが、勉強机とセットのイスのギリギリに座る私に、二人の間のスペースを指差しながら言った。







「…お尻のエクササイズ中」


「集中しろ、バカたれ」


龍ちゃんは私の頭をポコッと叩いた。






…で






…出来るわけないじゃん!!








なんで!?









なんでそんな普通なの!?










あんな恥ずかしいことしといてっ!!










私はほっぺたをこれでもかってぐらい膨らませて、ベッドに腰掛けた龍ちゃんを見た。









龍ちゃんはメガネをなおして、パソコンでレポートを作っている。



たまに目をこすりながら目薬を入れる仕草は、た、たまらん。







パチ








龍ちゃんと目が合って、私はサッとノートに視線をうつす。



「…なに」



「…べつに、何も?」



「ふーん…」







そう、龍ちゃんは至って普通。




よそよそしいのは


私だけ。




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