午前5時に晴れは来る。

・プロローグ(1/4)







あぁ、頭が痛い。
理由は探すまでもなく、飲み過ぎたせい。
ガールズバーでのバイトはそれなりに儲かるけれど、もう少し回数を減らしてしまおうかと頭痛の度思う。


散らかったテーブルにちらりと視線をやると
飲みかけの缶ビール、それから残り数本の煙草。リップの付いた吸殻と、付いていない吸殻。


頭が痛いのは酒のせい。
わかってはいるけれど、やめられない。正直やめる気もない。


気の抜けたビールを一気に飲み干して、
数本しかないうちの一本を口に咥えた。


そうしてベランダに出ると、僅かに東の空が白んでいるのが見えた。



そろそろ朝が来る。



それと同時に、私の彼氏は私に帰るよと声を掛けてきた。




「また連絡する。」


「うん」


「心、」




名前を呼ばれて振り向くのはもう条件反射みたいなもので
いつの間にやらきちんと服を着た私の彼氏は、彼とは正反対、下着にTシャツを被っただけというだらしない格好の私を見て微笑むのだ。




「好きだよ。」




そう言われて、こっちまで笑ってしまうのも、条件反射。
別に嬉しいわけではない。




「私もだよ、翔。」




条件反射で上がった口角と、枕詞に満足した私の彼氏は一度私にキスをして部屋から出て行った。



言葉も、キスも、喜びなんて感じない。
そうするのが当たり前みたいなものだから。






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