恋に落ちるその日まで -2nd-
[恐怖の始まり](1/11)
きゃ〜!つばさ君だぁ!
えー何でここにいるの!?
キレ〜!!かっこいい〜!!
「ん〜…その授業選択できるのは、福祉学部だと
3年生ですねぇ」
おっとりとした声で、すずが言う。
すずの専攻する福祉学部は女の子の割合が多く、学部棟に足を踏み入れた時から…周りの視線が痛い。
「例の写真の持ち主探しですか?」
「そ。あの写真がいつからあったのかは分からないけど、あの講義室を使う講義自体もそれほどないし…僕と同じ授業を受けてたメンバーの中から…となると、うちの学部の生徒か、すずちゃんとこの3年か…」
「そぅですねぇ…でも、人間工学の授業を受ける人ってそれほどいないって聞いてますよ?なんて言うか、うちでは実用性に欠けるので」
ん〜?と、頭をひねらせているすずにお礼を告げ、学部棟を立ち去ることにした。
栞の写真はリクルートの展示会での写真だった。
誰でも参加できる展示会ではあったが、やはり就活のため…と考えれば、圧倒的に3年あたりの参加率が高かったのではないだろうか。と、推測する。
さらに、写真の置かれていた講義室。
あそこは講義棟の中でもそれほど活用されていない部屋で、利用している生徒を洗い出すのも…
まぁ、骨の折れる作業ではあるが… …
「あら?いい写真じゃない!」
栞の写真に何かヒントは隠されていないか…と、写真を眺めながら悶々と考えを巡らせていると、不意に背後から覗かれる。
「わぁ!千葉さん。びっくりした」
「何何?この子、どこかのモデル?」
「違いますよ〜」
「じゃあ翼の彼女か!?」
「・・・それも残念ながら違います」
雑誌の整髪料の記事に使われる写真の撮影中。
声の主はカメラマンの千葉だった。
モデルのバイトを始めた頃から翼を気に入って、よく撮影に使ってもらっている。
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