なんでもいいよ。
◆[口癖](1/1)





『なんでもいいよ』


これが彼女の口癖。
僕が何を聞いても、大体彼女はこう答える。



―――



今日のデート、どこに行きたい?


何がしたい?


お昼は何か食べたいものある?





「なんでもいいよ」


「…あのさ、いつもそうだけど、その返事って結構困るんだけど」



夕飯のおかずを聞いてなんでもいいよって言われた母さんの気持ちがよくわかる気がする。



つい僕も苛ついてしまって、少し口調がきつくなってしまったかもしれない。


彼女は黙って俯いてしまった。




せっかくのデートなのに馬鹿野郎!と僕は心の中で自分に罵声を浴びせ、謝ろうと彼女に近寄って顔を覗き込んだ。



彼女は僕の目を見つめた。

…目は口ほどにものを言うってこういうことだ。



すごくしょんぼりしている。





馬鹿野郎!!


ともう一度自分に罵声を浴びせた。



大好きな彼女にデートでこんな顔をさせてしまうなんて彼氏失格もいいところだ。



すぐさま口を開こうとしたら





「…君と一緒なら、何でもいいよ……」






僕の手を彼女が遠慮がちに握った。




…そんなことを言うから。




そんなことを言うから、僕はいつも困るんだよ。




彼女の手を強く握り返して僕もだよ、って彼女に言った。



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