色褪せたバラ

 第 1 3 章 1/28












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 今日は一段と冷える朝だ。





目を覚ますと俺の腕の中には当たり前のように美羽がいる。


起きぬけでうまく思考の回らない頭を起こすまで俺はぼんやりと美羽の寝顔を見つめる。



この時間は俺にとって、かけがえのない至福の時であると同時に、一体あと何回こんな朝を迎えられるのだろうとくだらないことを考えてしまう苦痛の時でもある。



不安から逃れるかのように俺は美羽から時計の針に視線を移す。そしてその時、自分が予定よりも少し遅く起きてしまったことにようやく気が付いた。



急いでベッドから起き上がり、身支度を始める。



「もう出かけるの?」



シャツに袖を通していると背後から声がして、振り向くと布団をすっぽりと被りながらベッドに横たわっている美羽と目が合った。



まだ眠たそうな美羽の瞳と
しばらく視線が絡み合う。



いつもよりも薄暗い室内。
どうりで寒いと思えば外は曇っているようだ。



「昼には帰るよ。」



俺はそう言って少し微笑むと、再び身支度の準備に取り掛かった。



出かける直前になってもう一度ベッドのほうを見ると、まだ美羽はそこにいた。



俺はベッドのほうへと歩み寄り美羽の額に手を置いた。


「キッチンの棚にインスタントのスープがあるから、寒かったらそれ飲んでていいよ。」


俺がそう言うと美羽はコクンと一度だけ、ゆっくりと頷いた。


「いってきます。」


最後に俺は部屋の電気を点けて、美羽のいる部屋を後にした。



  寒くて薄暗い

  今にも降り出しそうな

  そんな朝だった。







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