色褪せたバラ

 第 7 章 1/19











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その日


目が覚めるとすでに
直樹さんの姿はなかった。






「‥‥直樹さん?」








辺りは薄暗くて


妙な静けさが部屋中に漂う。






ベッドから起き上がり



キッチンや廊下や洗面所

部屋中を探してみたけれど
直樹さんはいなかった。




「‥‥‥‥‥。」










 そういえば昨日

 明日 早いって

 言ってたっけ ‥‥









さっきまで気にならなかった雨の音がザァアア――‥と部屋中に響き渡る。








  雨 降ってたんだ ‥







日のないどんよりとした空は


殺風景なこの部屋に少しの明るさも与えてくれない。




まだ朝早いのに


私は部屋の電気をつけた。








部屋が一気に明るくなり



私はテーブルに置かれた
くるみパンに気がついた。









  まだ

  ほんのりと

  温かい――‥‥。









私はカーテンを少しだけ開き

窓の外のどんよりとした空を見上げた。









「直樹さん、どこ行っちゃったのかな‥‥。」






ぽつりと呟いた

私の小さな独り言は




激しく叩きつけられる雨の音へと吸い込まれていった




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