[10.秘密の恋](1/24)
10月に入り、亜沙子が突然予備校に通いだした。
園田家にも行っていないようだった。
なぜなら毎日学校帰りにまっすぐ予備校へ行き、9時までの授業を受け、そのまままっすぐ帰ってくるからだ。
「あら、お姉ちゃんから聞いてないの?」
母はのん気な口調で香弥子に話す。
「自分で勉強するのには限界があるから行かせてくれって‥。
カヤもお姉ちゃん見習いなさいよ。
また少し成績下がったでしょう」
香弥子はお説教が始まる前にそそくさと部屋へ戻った。
(アサちゃん、何も言ってくれなかった‥)
最近、亜沙子と口を聞く回数がめっきり減ったような気がする。
夜は園田家に入り浸り、朝は寝坊しがちな香弥子を置いてサッサと学校へ行ってしまう。
朝から自習してるんだよ
もう少し本腰入れて勉強しないとね
と亜沙子は笑ったが、その目は笑ってはいなかった。
そして今回の予備校行き。
(もしかしてアサちゃん、私の気持ちに気づいちゃったのかな‥)
確認の出来ない不安がうずまく。
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