お姉ちゃんの彼氏。

[10.秘密の恋](1/24)
10月に入り、亜沙子が突然予備校に通いだした。



園田家にも行っていないようだった。

なぜなら毎日学校帰りにまっすぐ予備校へ行き、9時までの授業を受け、そのまままっすぐ帰ってくるからだ。





「あら、お姉ちゃんから聞いてないの?」


母はのん気な口調で香弥子に話す。


「自分で勉強するのには限界があるから行かせてくれって‥。

カヤもお姉ちゃん見習いなさいよ。

また少し成績下がったでしょう」



香弥子はお説教が始まる前にそそくさと部屋へ戻った。


(アサちゃん、何も言ってくれなかった‥)


最近、亜沙子と口を聞く回数がめっきり減ったような気がする。


夜は園田家に入り浸り、朝は寝坊しがちな香弥子を置いてサッサと学校へ行ってしまう。



朝から自習してるんだよ

もう少し本腰入れて勉強しないとね


と亜沙子は笑ったが、その目は笑ってはいなかった。



そして今回の予備校行き。


(もしかしてアサちゃん、私の気持ちに気づいちゃったのかな‥)



確認の出来ない不安がうずまく。




- 186 -

前n[*][#]次n
/356 n

⇒しおり挿入


⇒作品レビュー
⇒モバスペBook

[編集]

戻る