お姉ちゃんの彼氏。

[8.切ない優しさ](1/8)
4畳ほどの小さな部屋で、荷物もない代わり、明かりもなかった。




二人が足を踏み入れると、後ろで扉が大きな音をたてて閉まった。



クローゼット代わりに使っていたのだろうか、壁に棚が取りつけられている。


高い位置に小さな窓がついており、薄暗い部屋でなんとかお互いの顔が見えた。




櫂の顔は無表情で血の気がないのかと思うほど白かった。


櫂は背中を向けると、静かに切り出した。



「アニキと…付き合ってるの?」


「まさか!」

香弥子は大きく首を振った。


「私が勝手に好きになっただけ。

私が勝手に…キスしてただけなの。


シュン君は私のことなんて…」





- 149 -

前n[*][#]次n
/356 n

⇒しおり挿入


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

戻る