愛という花
■[第5章〜震える手](1/7)
あなたと出会ってまだ1ヶ月しか経ってないんだね。
でもそんなことも気にならないぐらい
あなたの存在は私の中で大きくなっている。
この気持ちを何と言うのか、何と表せばいいのか
私には分からないけど
これだけは言える。
…あなたを失いたくない。
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修悟君は時間ピッタリに迎えに来てくれた。
「昨日はよく眠れた?」
ホントはそんなに寝た気はしないんだけど、心配かけたくないから
「うん。」
と、答えておいた。
「…何か少しずつ分かってきたかも。」
「え?」
「大丈夫。今日は人通りがすごく多いとことかには行かないから。」
「…?
うん…、ありがとう…??」
見透かされてる…?
何だかここ最近、修悟君に対しては嘘がバレてばっかりのような…。
「じゃあ、行こっか。」
ちょっと決まりが悪かったけど、ニコッといつものように綺麗な笑顔で微笑んでくれる修悟君に
「うん。」
私は素直に返事をした。
修悟君の隣に並んで歩き始めたら
「霞。」
「ん?」
「今日の服、似合ってる。かわいいよ。」
一瞬、時間が止まったようだった。
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「そっ…なっ……えっ!?」
ようやく口から出てきた音は言葉として全く意味を成さないものばかりだった。
そんな自分にもさっきの修悟君の言葉にどんどん恥ずかしくなって
つい顔をそらしてしまった。
「霞?
…もしかして、…照れてる?」
心臓が跳ねた。
「…照れてなんか、ないデス。」
「ホントに?」
「照れてないって!」
「じゃあ、何でこっち見てくれないの?」
「それ…は…っ!」
上手く喋れない。
生まれて初めて言われたわけじゃない。
沖野さんやついさっきお母さんからも言われた言葉。
“かわいい”
修悟君の口から聞くと、どうしてこんなに違うように聞こえるんだろう。
「ほらやっぱり照れてる。
かわいいなぁ、霞は。」
「………っ!」
そっぽ向いた顔をのぞかれて降ってきた2回目の
“かわいい”
もうやめて。
もたないよ、心臓が。
くすくすと笑う修悟君の顔を横目で見ながら、心臓を落ち着かせることに必死になっていた。
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