第六章 [光を求める者](1/5)
私にとっての光と、彼にとっての光は同じものだった。まさか自分が同じ光を求めるようになるなんて、考えも付かなかった。
気付けば隣で暗闇に包み込まれる私を照らしてくれた。あまりに綺麗過ぎて、かけ離れた自分が惨めに思えて、壊してしまいたくなった。
それでも光は照らし続けた。
嬉しくて哀しかった。
こんな汚い自分が哀しかった。それでも側にいることを許してくれる光が嬉しかった。
ほんとはずっと、寂しかった。
「――姉様……」
「桜子はまだ眠ってるのかい?」
「ええ……ここのところ正面に睡眠も摂れてなかっただろうって……お医者さまが……」
桜子が眠っているベッドの横にイスを置き、心配そうな表情を浮かべる紅子。その後ろ姿を入り口のドアにもたれるようにして見つめる水樹。
「色々、聞きたいことはあるんだけどね。僕は紅子の嫌がることをするつもりはないんだ」
紅子の後ろ姿がピクッと反応する。
「いつか紅子自ら話してくれる時を待つ。だから怯えないでくれ……。そんなに怯えられると僕も辛い」
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