デオモニ。
●[Dクラス](1/2)
時を遡ること、昨日のお昼休み。





僕がこの月光高校に入学して早一か月経つのかと
お弁当の結び目を閉じながら考えていた。
そう思うと時の流れとは早いものだ。


入学してから知ったのだけれど、
僕がこの春入学した月光高校は
全寮制のお城のような学校なんだ。

なんでこんな山奥にディ○ニーランドが……
と門の前で立ち尽くしてしまう程の
膨大な敷地。
弟はすげーすげーと
壊れたオモチャのように同じ言葉を繰り返していた。


さすが金持ち学校はすることの
スケールが違う。

この学校で三年過ごせるだろうかという
不安が高まった。




「ごちそうさまでした。」
はぁ〜食後のお茶は最高だな。
喉が潤い、ほっと一呼吸する。
このまったりとした時間がすきなんだ。

「ごちそうさん。今日もうまかったよ。」
僕の満足した顔を見て二コリと爽やかな
笑みを浮かべる男。

おっとどうやらトリップしてしまったようだ。
いかん、いかん。

「おそまつさまです。」


男の名前は下田将人(シモダマサト)。
本人は地毛だと主張している
藍色の癖のある髪がワックスで無造作にはねている。

身長は校内で一番高いらしく
191センチと長身だが見た目は意外と細い。


性格はきわめて温厚で
面倒見の良い好青年な彼。

外部生で有名な僕達に
クラスで初めてしゃべりかけてくれた生徒で
今では親友だ。

僕のような地味男とはかけはなれてるけどね。


「わりーな。いつも弁当作ってもらって。」
「大丈夫。たいした手間じゃないし。」
将人が苦笑しながら謝る。
いつも食べ終わった後に必ずお礼を言ってくる。
そんな顔しなくても、僕が勝手にしたいだけだから気にしなくてもいいのに。
彼はすっごく律儀なんだ。



高級レストランのような食堂で毎日食べるには
一般家庭出身の僕たちDクラスの生徒には食費がもたず、
大半が自炊か購買のパンを食べている。




将人は自炊は多少は出来るらしいが
朝が弱いらしく購買ですませていた。


我校のバスケ部の期待の星と呼ばれている彼が
パンばかりでは栄養バランスが壊れてしまう!!
瑞貴はその日から将人の分のお弁当を作ってあげていた。

もちろん、食費はもらているし作るのは嫌いじゃない。
むしろ好きな方だ。


瑞貴の料理は意外と好評で、
他のクラスメートにもたまにつくってあげている。



クラスメートも優しい人ばかりで
彼もクラスメートも文句ひとつ聞いたことはなry)「まずい………」

いた………こいつだけだよ、
僕に文句いうのは。




「和希。ニンジン残すなよ。」
「う〜〜食べれないィ〜……」
「食わんから大きくなれないんだぞ?チビ助。」
「うるせーーー!!チビいうなーーーーーーーーーー!!」
将人がにやにやと笑いながらからかっているのは
佐伯和希(サエキカズキ)。

佐伯で気づいたとは思うが、僕の双子の片割れだ。



そう、このストーリの題名にもなっているデキの悪い弟だ。

将人にチビといわれたように161センチと
高校生男児としては小さい和希。

伸び盛りのはずなのに…、
平均身長はある僕よりも頭一つ分小さいなぁ。




「とにかくニンジン早く食べないとかたずけれないだろ。
ほら、お茶ついだから鼻つまんで。」
「たべなきゃダメ?」
「ダメ。ほら、あーんして。」
僕は和希の箸をとりあげ、
口の中にニンジンを入れた。




「まずうううううう〜〜〜;;」
「ははは!やっぱ瑞貴はお母さんだな!!」
「……………こんなデキの悪い子ども産んだ覚えはないけど?」
「細かいところはきにしちゃだめだぜ!お母さん♪」
そういってけらけら笑う将人。

和希はお茶をガブガブと飲んでいる。
慌てて飲むとむせ…




あーー…やっぱりむせた。



「あ、そういえば和希。
昨日言った数学の宿題やってきただろうな。」




さっきのニンジンが口に残っていたらしく
しばらく苦闘をしていたようだが
ようやく落ち着いた和希に僕は尋ねた。




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