Dear…

君の本音(1/6)







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「ここが2人の愛の巣かあ」
「ちょっ、美亜っ変な言い方しないで!」
「だって本当のことでしょうよ」
美亜はそう言って頬をぷくっと膨らます。
美亜は私の高校時代の友達で、大学は別々だったけど、社会人になった今またこうして時々会う仲だ。
「すっごい綺麗な部屋だね!入ってくる時から思ってたけど、超高級マンションって感じだし」
そう言って美亜はリビングを見回す。
「木崎くんは?」
「あ、お仕事
「日曜日なのに?」
「うん。基本的には平日だけなんだけどね?なんかいろいろ大変みたい」
「そっかー。じゃあ心寂しいね?」
ちょっとだけ。でも夜になったら会えるから」
ソファーに座った美亜に、コーヒーと美亜が持ってきてくれたケーキを出す。
「だからこんなにラブラブってわけ?」
美亜が向けた視線の先は、私の首元

慌ててバッと隠す。
「ラブラブそうでいいなぁ〜
美亜はニコッと笑ってから、大きくため息をついた。
「美亜は?彼氏さんと仲良いんでしょ?」
「う〜ん、どうなんだろ」
美亜は大学生の時に、中学の時から付き合ってた拓くんと別れたんだ。
大喧嘩したらしく、それで勢いで別れるって言っちゃってそのまま
綺麗な美亜のことだから、その後すぐに年上の彼氏が出来たんだけど

やっぱり私は美亜と拓くんが良かったな、って今でも思う。
「多分、倦怠期」
「け、倦怠期?」
「ドキドキしなくなっちゃった。まだ付き合って1年も経たないのになぁ〜」
美亜はまた大きくため息をついた。
「なーんかマンネリ化しちゃったんだよね〜」
「な、なにが?」
「なにがって、キスとかエッチとか」
美亜がサラッとそんなことを言うから、私のほうが恥ずかしくなる。
「や、別に刺激を求めてるとかそういうのじゃないよ?なんていうか、うーん、愛を感じない」
「へ?」
「だって、会ってもエッチだけして終わりとか、そんなのばっかりだよ?だったら私じゃなくてもいいんじゃん、って思う」
そ、そんなことないよ!美亜だから、するんじゃないの?」
「そうだといいんだけどね〜」
美亜はケーキをパクッと口に入れる。
「ま、やっぱ倦怠期なんだよね。だから仕方ないのかも。あ、心たちって、そういうのなかったの?」
美亜の大きな目が私をじっと見た。







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