Dear…
Dear...【終】(1/2)
もう当分帰ってこないなんて、ウソなんじゃないかって思うくらい。
まるで、いつも通りの朝に会社に出勤するみたいに唯人は出掛けていった。
もう当分会えなくても、少し寂しいけどこんなに穏やかな気持ちでいるのはきっと薬指に光るリングのおかげ。
単純かもしれないけど、約束があるから悲しくない。
高校生の時みたいに泣かずに、笑顔で見送れてよかった。
次唯人が帰ってくるまでに、やっておきたい事がたくさんある。
まずは料理の腕をあげて、レパートリーも増やして、ダイエットもして、綺麗になりたい。
仕事も頑張って、内面も磨いて、唯人に、惚れ直してもらえるように。
唯人はこれから、色んな事を覚えて、また私が追いつけないくらいになっちゃうんだろうな。
外国のナイスバディなお姉さんと、関わることもあるのかな…
…それは、妬いちゃうけど…
私はずっと信じてるから。
他の女の人に鼻の下のばしてても、多少なら許すよ。
唯人が元気に過ごしていてくれたら、それでいいから。
唯人のことだから、きっと頑張りすぎってくらいに頑張っちゃうんだろうね。
酔わないからって飲み過ぎちゃだめだよ。
唯人が次帰ってくるまで、どこに行きたいか何したいか考えておくから。
帰ってくるの、楽しみに待ってるね。
いってらっしゃい!
__Dear.唯人
親愛なるあなたへ。
__【完】__
p.105
← →
➣栞
⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?
←