蒼と狼の物語
[桜重蔵](1/31)

蒼子の様子がおかしい!!

新撰組の皆が思う程、蒼子の様子はおかしかった。

「おい、何だ?これ………」

朝食を皆で取っている時だった。

体力が回復してからは女中の仕事からは離れ、土方に付きっきりで食事も共にしていた。

その土方は箸を片手に茶碗をもって眉を寄せる。

「嫌がらせか?おい…」

土方の食事を用意したのは蒼子だった。

「おい、聞いてんのかてめぇ!これは何だ!!!!」

茶碗は山盛りなのはさて置き、他のものは全て空の状態で乗せた痕跡さえない。

「俺様に米だけ食えってか?!桜!!!!」

怒鳴り声と共に、蒼子の体が跳ねる。

「………えっ?」

その光景を黙って見守る近藤にはじまり、山南、そして組長、隊士。

いったいこの光景…蒼子が元気になってから何度見たかわからない。

それだけじゃない。




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