蒼と狼の物語
[偽者はだれ?!](1/13)

天気の良い早朝、ひゅっひゅっとと木刀を振りおとす音が庭に響いて聞こえる。

島原に行った翌日からずっとこんな感じだ。

木刀を振っているのは斎藤で、原因を聞けばこんな言葉が返ってきた。

「酒ごときで寝るなど不甲斐ない…副長に申し訳ないではないか。お咎めはなかったが切腹ものだ」

眉をしかめてそう言うと、再び素振りをしだす。

…そんな事で切腹になるの?!

急いで土方に確かめれば、土方は苦笑いを浮かべる。

「あいつだけだ、放っておけ」

そう言うと普段と変わらず机に向かい合い、慣れた手付きで筆を走らせる。
土方の偽者探しは山崎に一任されたらしい。




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