蒼と狼の物語
[無知だった](3/9)

……お茶を入れに来ただけ。

なのに、なにこれ?

蒼子は女中の女の子に水をぶっかけられた。
原因は不明。

ただ分かるのは、肌寒いって事だ。

ポタポタと滴る滴を見て、彼女は顔を歪めて笑って見せる。

「あんさんその方が似合いますえ?」

「………………」

あぁ、なんだ。

ただの虐めだ。

「すみません、土方さんの……っ」

バシャーっと再び掛けられる桶一杯の水。

「……………」

水じゃなくて…お茶をくれ!!!!!

天気は晴天。
だが風はやはり肌寒い。

ブルッと震える体に、ギュッと力を込める。

陰湿なのは慣れてる、だがこんなに真っ直ぐな悪意は始めてで蒼子は少し怯んでいた。



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