蒼と狼の物語
[副長の小姓兼女中です!](1/44)
翌朝…朝食は昨夜沖田が持ってきてくれた物を食べた。

それからは部屋から出るのは厠以外禁止され、部屋の中でゴロゴロ…


とはいかない。


何せ、この部屋は土方歳三の部屋。
副長という仕事は忙しいのだろう、机にかじりついたままずっと手を動かしている。

そんな土方をただ見てるだけの蒼子は、なにか手伝うことがないか聞いてみた。

「土方さん、なにか手伝うことないですか?」

声をかけるが無視。

長い沈黙の中、視線を動かさず土方は口を開く。

「茶を持ってこい」

空っぽの湯呑みを指さして、蒼子の顔も見ずにそう言う。

待ってました!と言わんばかりに湯呑みを持って部屋を出ていく蒼子の動きは早かった。


「…おい」


土方の言葉は虚しく部屋に響く。

「場所わかるのかよ…まぁいいか」

監視させてあるから問題ないだろう。
はぁっと盛大なため息を付き、筆を置いて延びをする。

蒼子の事を重役達に話すのは夕刻であるため、時間はかなりある。

それまでに片付けなければいけない仕事は、残念だが山積みであった。

再び筆をとり、書類と向き合う。


蒼子が居ることを除けば、いつもと変わらない午前であった。



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