少女、阿修羅。

教室(1/1)
*




 小雪は窓際の席に入学してから二回目の席替えで引っ越してきた。春の暖かい日差しを浴びながらぽかぽかと心地よく、だが内心ぐだぐだと真っ黒な気持ちを煮えらせて頬杖をついていた。ただ一点を睨み付けて、むっすりと。



 休み時間になると必ず現れるあの女たちは、絶対にロクが好きなんだ。破廉恥な!



 派手目な女子生徒が三人、陸太郎の周りに集まってきている。また男子が二人そのおこぼれに預かろうと近くに立って談笑している。陸太郎の表情はいつも通り、優しい。ずぐり。
「なーに怖い顔してんだって!」
 ぱこんっと頭で音がして明が教科書をぽいと自分の机に置く。明の席は運よく隣であった。視線の先を見て、ため息。
「また坂木…いい加減素直になればぁ?」
「だって…気まずくなるし絶対!付き合うとか無理だし絶対!」
「普通に大丈夫だと思うんだけどなぁ」
「ううん、絶対ない。そんなことあるわけない」
「そりゃあんたがそうなるようにしてんでしょーが」


 明は相変わらず呆れたように頬杖をついて小雪を見る。明
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