恥(1/1)
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恥じよ女生徒
恋など声高に叫んでは何て破廉恥な
恥じよ男子生徒
女の裸などただの皮膚と肉との塊ではないか
破廉恥な人類
恥じよ!
「いやあんたが恥じてほしい、友人として恥じてほしい」
練習後、汗で臭くなった防具をくんくん犬のように嗅いでいる小雪に、同じクラスの新山明が汗で濡れた短めの髪をタオルでふきながら近づいて来た。さばさばとした体育会系少女である。
道場にちょこりと正座して防具を抱き抱えていた小雪はむっとする。
「心の声を読まないで下さい。だってこの匂い好きなんだもん」
道場には部員はもうほとんど残っておらず、皆シャワーを浴びに行ったか着替えに行ったかどちらかである。隣に明がどかりと座った。
「小雪、あんた隣のクラスの男ぶん殴ったんだって?なんで下心のあるような奴についてっちゃうの」
呆れたように明は髪をわしゃわしゃか掻きながらそう言う。小雪はむっとした顔のまま不機嫌そうに話す。
「可能にしないように、生きているだけです。可能にしないよーにっ」
むっすりとふて腐れた小雪を見て明はやはり呆れたように笑う。
「もういい加減にしなって、ばちがあたるわけでもなし、何をそんなに頑なになってんだか。向こうも鈍感だし、こっちは見てらんないよ」
小雪の頭もわしゃわしゃと撫でて明は去って行く。
小雪は相変わらずむっすりしたまま正座して膝の上に収まった防具を睨んでいる。
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