地獄橋
[緋眼達成](1/40)
緋眼達成



地獄橋で夜中に“生きたまま”発見された少女。

地国村と近隣の町村で大々的に取り上げられ、“地獄橋の脅威が消えたのでは”と人々は噂する。

恐れ祀られていた巌鬼の石も消滅し、日を置く毎に人が通るようになった。

その脅威を排除した梨沙は、部屋に引きこもり、一切外に出なくなってしまった。

誰が訪ねて来ても会おうとはせず、梨沙を救助した宏樹の父にも会わなかった。

常に目は虚ろで、たまに部屋からぼそぼそと独り言が聞こえてくるばかり。

両親は梨沙が精神疾患を患ったものと思い、医者に見せようとしたが、気が狂ったように暴れる始末。

夜中に失踪される事よりマシだと思い、やむなく自宅療養をさせていた。

様子見の為そっとしておいた訳だが、悪く言えば向き合う事を放棄したのだ。

そんなある日、梨沙は部屋から出て、母親の前に姿を見せた。

吹っ切れたように明るく、クマのヌイグルミを母に渡しこう言った。

「お母さん、この子を背負えるようにしたいの。リュックサックみたいに。あと、大きな瓶が欲しい。保存が利くやつがいいな」

それだけ言い残し、また部屋に閉じこもってしまった。

母は梨沙からの接触を良い兆候と思い、その日のうちにリクエストに応えた。

次の日、意外な者が梨沙の自宅を訪問する。




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