アン・シンデレラガール
[エピソード1](1/13)
そして今。
あれから10年ほど経ち、私は19歳になり、奨学金で大学に通っている。
兄が必死に働いてくれて、私はこうして小、中、高、と卒業することができた。
あのときの高飛車で自信満々だった私がいなくなったわけじゃない。
今でも、あの後成功した元子役仲間(現女優)たちをテレビで見かけるたびに「私だったこうするのに」とか「私の方が断然上手い」なんて言って悪態をついている。
まぁ、今やもう負け犬の戯れ言だけど…。
子役を引退してからは全く表の世界には出ず、母の地元の田舎で育った。
そこでは、みんな山で遊んだり、川で遊ぶ方がメジャーでテレビなんか見てる人がほとんどいなく、成長した私に気づく人はいなかった。
そんな生活が私には気が楽で、気の強い性格も割と丸くなったと思う。
大学では都会の方に出てきて、兄と2人でまたなんとかやりくりして暮らしている。
次第にこっちの生活にも慣れてきた。
「えり〜!わざわざありがとね〜!」
「いいよ。別にこれくらい。何頼む?私ティラミス」
「私はイチゴミルフィーユで」
「じゃあ呼ぶよ」
この子は私の友達、佐藤美希。
講義を休んだ美希に、ノートをみせてあげたのだ。
美希は明るい性格で、性格難アリな私にも分け隔てなくつきあってくれる。
私には、この子しか友達はいないと言っていい。
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