揺れる……
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いよいよ、総体の日がやってきた。
朝早く家の玄関のドアを開けると、やや緊張した面持ちのおうくんが、今日はスマホを弄らずに待っていた。
「おはよう。」
「おはよう。」
「緊張してる?」
「今日が実質引退試合になるからな。」
「ああ、前にハルから聞いた。」
「晴臣のヤツ……。
上がれば全国なんだけど、まず無理だな。」
「どうして?」
「スポーツ特待揃えてるとこには、やっぱり敵わねーんだよな。」
「そうなんだ。」
「うん。」
学校のグラウンドにはバスが停まっていて、部員、顧問、稀世良さんとあたしが乗り込む。
あたしは稀世良さんの隣。
会場までは40分かかるらしく、その間寝るかどうしようか悩んでいる。
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