緋桜〜血脈

[再び京へ…](1/1)
艶が目を覚ますとそこは見馴れた自分の部屋だった
「目が覚めたか?」

夕霧は艶を気遣うように甘い砂糖菓子を薦めた

「どうして分かった?」

「式神を潜り込ませてましたから…」

「そうか…夕霧が悪いわけではないから気にするな」
上手く笑えているか分からない…
私はどんな表情をしているのだろう…

「京へ行かれてはいかがかと…」

「京か…お前はどうする?」

「私は…艶の代わりに此処に居る」

夕霧は何処か他人行儀な感じであった
気にしているのであろう…
「それに…迎えも居る事だからね」

迎え?
扉が開くとそこには晴明の式神が居た






「艶様…参りましょう」

式神にそう言われて私は久しぶりに京へと戻る事となった

京へ着くと変わっているのかそれとも私が変わった感覚を覚えた

一条戻り橋を通り、晴明桔梗紋の扉を潜るとあの時と同じように晴明が迎えてくれた

「迷惑だったら…私は帰るから…」

今にも泣いてしまいそうなのに気づいたのか、そのまま部屋へと連れられていった

何も言わずに優しく抱きしめられ私は、今までの事を晴明に話した

「迷惑なら、俺はここまで優しくはしないぞ?」

「夕霧も、あいつはあいつなりにやっただろうから咎めはしない」

そう言われて私は戻ってから初めて晴明に抱きついていた


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