緋桜〜血脈

[傀儡](1/1)
その頃艶は魔界に入り込んでいたもののけを退治していた
魔界に入り込むなどは今までなかった事だ…
おそらくは人間が入り込んだのであろう

「きりがない…式神ではないという事か…?」

ガサガサ…

振り向くとそこにはおびただしいまでの土蜘蛛の群れが迫っていた

「っ…!土蜘蛛を操ったというのか!?」

土蜘蛛はそもそもは魔界にしか居ない…人間界で出るときは、魔界の結界が綻びをおびたときのみ
こうなれば土蜘蛛は目の前の敵を食い付くすまで止まらない!

「罪悪感があったが背に腹は変えられない…許してくれっ…」

呪文を唱えると先ほどまでの土蜘蛛は炎に包まれていった…

「艶…人間を見つけた…」
夕霧に言われ、私は半分夢ではないかと疑っていた
そうでもしなければ自分が壊れてしまうかのように…
その人間の元へ向かうと、見た覚えがあった…

「お前っ!陰陽寮の…」

いつも晴明を疎んじている者の仕業であった
大方、自分の能力を示したかったという所であろう…だからといって許される事ではない、土蜘蛛を操った挙句、傀儡と化してしまった土蜘蛛の未練は計り知れない…

「夕霧…この者には死をもって償わせてくれ…」

「了解しました…」

「ひっ!?止めろ!俺はただ…」

男の言葉は言い終わるか終わらぬかのうちに閉ざされた
辺りに血の匂いが充満し気分が悪い…

(私は…何ができる?)

そう考えながら部屋を後にした


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